出産

もうすぐ産まれるかもと思って病院に来たのだが、とうとう日をまたいでしまった。
その日はなんと、ちょうど出産予定日と同じ日なのです。
さすがに陣痛が起こってもう15時間経っているので、今日中こそ産まれるでしょう。
すごいな~予定日にぴったりに産まれる子どもってそうそういないんじゃないでしょうか。

深夜3時ころもう自分も妻も疲弊しきっていました。
私は眠気と闘いながら、妻が陣痛で苦しくなってきたら、背中をさすって、収まったら5分でも3分でもいいからと目を閉じて仮眠をしていました。
そんな私を見た妻は、気を遣ってくれて…陣痛の痛みに耐えながら声を出さないようにしてくれていました。
そんなことも知らずに私はいつのまにか寝てしまっていました。(役立たず…)

数時間おきに看護師が容体を見に来ますが、「まだまだですね~」なんていって出ていきます。
妻は「まだ開いてない?もう開いてるよね?測って!!」ってキレ気味にお願いしていましたが、取り合ってくれませんでした。
一睡もできずに夜が明け(私は少し寝ました)陣痛が少し遠のいた。

え?産まれないの?

なんて思っていた時に看護師が病院食を持ってきました。
もう朝ごはんの時間でした。



食べ物が喉を通らない妻は、少し食べほとんどを残したのですが、私が昨日のお昼からほとんど何も口にしていないのを見て気にかけてくれて「食べなよ」なんて言ってくれましたが、私も食欲がでず断っていました。
むしろ心の中で(息子よ。早く出てこい!疲れたよ。)って思っていましたからね。

とうとう午前10時を回り24時間たってしまいました。
陣痛室は2つのベッドがあるのですが、隣のベッドは何回も人が入れ替わっていました。
そして何度も産声を聞きました。

みんな早くない?なんで嫁はこんなに時間かかってるんや???
また、妻がどれだけ懇願しても帝王切開は受け入れてくれませんでしたが、途中隣に来た人は帝王切開に切り替わっていたので、嫁はそのことを陣痛に耐えながらずっと恨めしそうに話していました。
今では笑い話にできますが、当時の状況はとても辛かった。

時間だけが流れ、妻は5分おき、10分おき、3分おきとばらばらの間隔で陣痛が来ていました。
お昼前か過ぎたあたりに、子宮口を計測にきた先生に懇願が届いたのか、やっと促進剤が投与され始めました。
5分間隔、3分間隔と、短くなってきて、16:50頃でした。

陣痛室から私と妻の母が外に行くよう伝えられ、外に出ると妻は分娩室に支えられながら入っていきました。
とうとうその時がやってきたのです。

立ち合い出産を希望していたので、看護師に呼ばれて簡易白衣などを着用し、分娩台の隣に立っていました。
必死に踏ん張っている姿の妻の手は思いっきり分娩台の手すりのようなところを握っていました。

あれ?この手、俺が握ったほうがええのかな?
ドラマとかでは旦那さんが妻の手を握っていたよな?

なんて思いながら握ったところ、真横に立っていたのが気に障ったのか、「後ろに行ってて!」と言われ、あえなく撃沈。
そりゃそうだよね。だって立ち合い出産の講習みたいなんに参加した時にも頭の横に立ちましょうなんて言われていたもんね。
男性の皆さん。立ち合い出産するときは気を付けましょう。

額の汗もすごく、隙を見て、持ってきた午後の紅茶(350mlバージョン)にストローを差して飲ませようとしたのですが、ストローが長すぎて折れ曲がり必死に吸った妻の口に入っていったのはモノの数滴でした。そして、「もう邪魔!!」なんて言われ、またまた撃沈。
500mlのペットならいけたかもしれない…

そして17:04に息子は産まれました。
分娩室に産声がひびき…わたりませんでした。
声ひとつあげずに息子は産まれました。

産声は外の世界にやってきて始めて肺呼吸をする上で大事なものです。
それがありませんでした。

「生まれたよ!お父さん少し外に行ってて」と看護師に言われ外に出ました。
義母に生まれたよ!でも泣かなかった。と伝えました。

分娩室の前で30分ほど待っている間に、中で赤ちゃんが泣く声が聞こえるたびに息子かな?!
今のは息子だよね!!あいつやっと泣いたよ!なんて義母と話していましたが、結局どの泣き声もうちの息子ではありませんでした。

結局陣痛から産まれるまでの間に30時間かかりました。
でもまだ終わっていませんでした…



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